事実、現実。何者も動かせぬ。
うまい言い訳を並べ、自分を納得させようとしようとも
ただ素直に己の稚拙な感情を認めようとも
個人の心象風景とは隔離された場所に現実というのは存在するのだ。
目に見えるものだけ信じるの。触れるものだけ信じるの。
触れたかもしれない未来なんてただの恥妄だ。
おそらく
私たち一人一人に宿る感情、意思、意識、そのたぐいのものに与えられた降り幅は
予め着地点を決められた物語になんら影響を及ぼさない範囲のものでしかないのだ。
着地点は決まっている。
個人の事情は本筋を歪めない程度にしかその価値をなさない。
己の心理が目の前の現実と確かに影響しあっていると感じることがあったとしても
それは物語の枝葉のエピソードでしかなく
予め決められた
本筋のうねりを
何ら乱すことはできないのだ。